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本の紹介「自分の意見を自分の言葉で表明できるのが教養」
現在、ネットの情報や学歴、大企業への就職等、「絶対に信用できるもの」が失われています。こうした時代のなか、今まで以上に「自分の頭で考える」ことの重要性が高まっているのです。
そして本書では教養とはまさにこの「自分の頭で考えられる」ことであり、教養を身につけた方が人生を面白く生きていくことができると説いています。
私はこの本を読む前、私は「教養」という言葉を誤解して経済的に余裕がある貴族みたいなインテリ層が嗜む芸術や文学の知識だと思っていましたが、実際そうした知識は手段に過ぎず、目的としての教養はすべての人に必要な考える力だということです。
この本では、では実際にどうすれば自分で考える教養人になれるのかのヒントについても書かれています。
惹かれた挿話「学生には自国の没落をリアルに認識してほしい」
イギリス(以下、連合王国)の名門オックスフォード大学のあるカレッジの学長は、「大学は学生に何を教えようとしているのか」を聞かれた際、学生には「自国の没落をリアルに認識してほしい」と答えました。
インドを失った連合王国はもはや今後大きく成長することができない国家で、いわば没落を運命付けられていると言えます。そんな連合王国の未来のリーダーである学生には、その衰退を止められないまでも、スピードを遅らせることがいかにチャレンジングで難しい仕事であるかを理解し、納得してもらいたいとのことです。
私は読んでいてとても現実的かつ潔い判断だなと思いました。彼らエリート層に求められていることは何かを大学側が真剣に考えていると伝わります。
日本とは違い連合王国は移民の影響で人口増加している国であり、経済発展もある程度期待できると思うのですが、あまり楽観視していないようです。
もちろんノーベル賞や国の発展等の華やかな実績も当然期待しているのでしょうが、今まで送ってきた市民の平穏な日々をいかに持続させるかという現実的な課題にも大学としてしっかり目を向けている「責任感」を尊敬します。
日本も少子高齢化による人口減少が進んでいてある意味衰退が運命付けられている国ですが、日本のエリート大学は学生にこの国の現実を教えようとする姿勢がもう少しあっても良いのではないかと思います。
もちろんエリートだけでなく国民全員に「国のために」という気概は必要ですし、私が自身もまずは多くの税金を納めて選挙に行かないといけないですね。
この本をオススメしたい人
- 仕事や勉強以外のことで面白い考えごとをしたい人
- すぐ周囲の意見に頼ってしまう人
- 多くのことに無関心で自分の意見を表明できない人
- 打算的で教養を胡散臭いものと考えている若者
著者は、決して本書を通じて価値観を押し付けるようなことはありませんし読み物としてとても面白いです。
個人的な感想
実際、自分で知らないことを公的機関のデータや図書館の書籍等を調べてじっくり検討するより、ネットやテレビの情報を疑わずに鵜呑みにしたり、社会的なエリートや影響力・権威ある人の意見を無条件に信じた方が遥かに楽で現実的です。
でも自分が大いに関心があることでさえ「楽をしたい」を優先させ、どこか他人事で受け身な姿勢で取り組むのは良くないと思います。
かくいう私自身も入社して間もない新人のはずなのに、既に「慣れ」で仕事をしてしまい思考停止状態になっている自覚がありますし、仕事以外においても時事ニュースや社会問題等には殆ど無関心です。大いに反省すべきです。
例えば本当はお金が欲しくてたまらないのに怪しいネットビジネス情報を信じ楽して儲けようとしたり、痩せたいと強く思っているのに怪しげなダイエット食品で楽して痩せようとしたり。
しかもそうして誰かの情報を鵜呑みにして結果も出なかったら、もう教養がないというか大人として格好つかないですよね。(私ダイエット食品買って失敗したことあります。)
この本を読んで仕事である金融の知識や自分の興味関心が強いものについては、せめて「自分の意見を持てること、そして自分の言葉でそれを表明でき、行動に移せる教養人」になりたいと思いました。
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